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アマダ(社長 岡本 満夫)は顧客工場のデジタル化や機械の知能化が進む中、トータル稼働支援システムを構築し、顧客の稼働損失を最小限にする安心稼働支援サービスを強化する。この支援システムは直接サービスを担当するエンジニアへのIT
ツールの提供。顧客、サービス情報を一元管理するメンテナンスデータベースの整備。それに保守部品の効率的な提供を可能にするパーツセンター設立で構成されている。
地域密着で配置されている国内300人のサービスエンジニアが迅速かつ専門的スキルで高度な顧客サービスを提供するため、新たにITサービスカーを配備。
WEBサイバーセンターで顧客からのサポート110番情報を一元的に受付処理、そのサービス対応に最適なサービスエンジニアを選出、出動指令を出す。情報を受け取ったサービスエンジニアはネットワーク化された顧客工場の機械の遠隔監視装置での原因確認やトラブルに必要な部品手配、配送状況の確認、ナレッジデータベースからのエキスパートサービス情報入手など、現場からでもITサービスカー内で迅速に対応することができる。また顧客消耗品履歴、保守対応履歴、点検報告書などの顧客メンテナンス支援データも受け取ることができる。
遠隔診断システムは本社専門サービス要員による障害分析、現地サービスエンジニア支援以外に顧客の自己診断を支援することができる。
点検手順表示や消耗品残量の表示など、事前に交換部品、消耗品を知らせる業界初のビフォアサービスで、顧客の工場の稼働損失を最小限に抑えることができる。
安心稼働支援サービスはITサービスカーを含む現場でのサービスエンジニア向けの投資に10億円、WEBサイバーセンターとしての顧客、サービス情報を一元管理するメンテナンスデータベースの整備に3億円。あわせて静岡県富士宮市の富士宮事業所内のパーツセンター建設に52億円。総額は65億円となる。
建設するパーツセンターは、鉄筋コンクリート2階建て、延べ床面積9,680平方メートルの規模。09年1月に着工、10月完成の予定。あわせて建設するモジュール工場は鉄筋コンクリート平屋、延べ床面積5,100平方メートルの規模。製造モジュール化の強化に加えアッシー、キットレベル(※1)に組み立てられたサービスパーツ提供も視野に入れている。
パーツセンターはビフォアサービスを含むアマダのサービスの中核施設となるもので、国内2万6000社に及ぶユーザーとのネットワーク化を前提に、過去のメンテナンス記録や、日々膨大な受発信が行われるサービス情報を処理できる本社システムと完全連携したコンピュータシステムを備える。常備する保守パーツは板金加工機械、プレス機械等合わせて8万種、130万点で、機械業界最大のパーツセンターとなる。
現在、アマダは国内54のサービス拠点に300人のサービスエンジニアを置き、サービスカーを使ってフィールドサービスにあたっている。このフィールドサービススタッフはパーツセンターとユーザーの中間に位置し、特殊工具などを搭載したサービスカーを使って様々なトラブルの解決に取り組んでいる。
新たに配備するITサービスカーは、顧客工場の機械の遠隔監視機能のほか部品の在庫、出庫状況の確認、レポート・見積書の作成などが可能な通信環境と、高度なIT設備を装備、パーツセンターの完成までに高度、迅速サービスのカギをにぎる従来のサービスカーの能力を一段と強化する。
これによって顧客のサービス・点検履歴、高度化された修理ノウハウの蓄積ができるほかサービスパーツの手配、デリバリー状況がオンラインで確認できるようになり、サービスエンジニアの行動効率が飛躍的に高まる。
機械は部品の消耗やトラブルなどによって運転が止まる。知らせを受けたサービスエンジニアが駆けつけて原因をチェック、必要な部品を手配し、その部品が到着してから修理にかかる。修理自体は通常1日で対応可能だが、部品の入手が停止時間に大きく影響する。
この間、生産は完全に停止。納期遅れや生産性の低下などを招き、工場にとっては大きな痛手となる。機械を監視することによって故障部品に代わる良品を事前に用意、機械が止まる前に交換することで工場は生産停止という事態から免れることができる。このため多くのユーザーがビフォアサービスを求めるが、メーカー側にその体制がなく、これまでこの業界では実施されていない。
建設するパーツセンターは即納率向上とグローバル供給体制の確立を目指した24時間対応型。これまで国内88%、海外74%であった即納率(※2)を国内外とも98%に高めるのも目的の一つ。
現行のパーツセンターでも必要な保守パーツを必要なときに国内/海外のサービス拠点に供給しているが、新設するパーツセンターでは緊急時の所要日数を国内は1日、海外は2日の実現をめざす。海外市場の拡大の中で海外サービスの強化をパーツセンター建設の狙いの一つに定めており、グローバルロジスティクス業界との業務連携を強め、ワールドワイドの供給体制の充実をはかる。
最近はマシンの電子化が進んでおり、基板などの電子関連パーツの保管には十分な配慮が求められる。このため厳しい温度・湿度・クリーン環境を管理できる専用保管スペースを設けるとともに、ICタグ付基板の履歴モニタリングシステムにより経年劣化を防ぎ、常にベストコンデションで納品する体制を作り上げることも重要課題に設定されている。
このほか
@モニタリングによる作業の可視化を実施、パーツセンターの見える化を実現
AICタグでのロケーション管理によるフリーロケーションの採用
B業務改善のためのデータ収集によるパーツセンターQCD(Q:誤出荷率の低減、C:最適在庫量の維持、D:即納体制)の継続的な向上などをはかり、迅速・確実なデリバリーを実現するパーツセンターとして建設、運営する考え。
さらに作業対応としてRFID(※3)を活用したフリーロケーション管理やデジタルピッキング方式により「探させない」「待たせない」倉庫オペレーションを実現することにしている。
自動倉庫の入出庫能力は従来の24倍となる1時間当たり720ケース、出荷速度は毎分6アイテムと、従来の1.5倍の処理能力をもたせるなど、機械業界で最も進んだパーツセンターが誕生することになる。
開発・製造の中核である富士宮事業所にパーツセンターを建設することに加え、サービスエンジニアへのITツールの提供、メンテナンスデータベースのWEBサイバーセンターで、開発・製造・サービスの一環体制が構築でき、「アマダのエンジニアリング力」が一段と強化されることになる。
※ 1.アッシー、キットレベル = モジュールより小さい組み立てユニットやブロック
※ 2.即納率=パーツ受注後24時間以内の出荷率
※ 3.RFID =Radio Frequency Identification の略。ICチップを利用した非接触認証技術
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