アマダ、ファイバーレーザ加工機受注開始
年内にラインナップも拡充

 
 
   アマダ(社長 岡本 満夫)は、次世代レーザとして昨年7月に開発した全軸リニア駆動のフライングオプティクス型ファイバーレーザ加工機「FOL−3015AJ」の受注活動を19日から開催する展示会イベント「DIGITAL INNOVATION EXPO MAY 2011」で開始する。「FOL−3015AJ」は出力4kWの自社製ファイバーレーザ発振器搭載に加え新たなアプリケーション技術を融合させたことで、次世代レーザ加工機に求められる要件(難加工材への対応・省エネ・知能化)に対応することが可能になった。価格は1億円。初年度の国内外での販売台数は20台を見込む。6月からは海外向けの販売も開始するとともに年内を目途に出力2kW搭載機の発売、レーザ主力機種F1への搭載も予定している。

 「FOL−3015AJ」は、銅、真鍮、チタン、非金属等、CO2レーザでは難しかった加工への対応を可能としたほか新素材加工技術対応ソフトによる最適加工条件の自動設定ができる。さらに波長1μm帯で高品質なレーザ光は幅100μmという超微細加工を可能にすることに加え、薄板(板厚1o)アルミニウム材の超高速加工(毎分60m)を実現。切断速度を飛躍的に向上(CO2レーザ比2.5倍〜3倍)させることができる。また、レーザ発振器はシンプルな発振構造のため暖気運転の必要がなく、待機電力の大幅削減が期待できる。しかもレーザガスが不要なことや機構的に外部光学装置も少ないことから、CO2レーザ発振器搭載機に比べランニングコストを70%以上削減、メンテナンス項目・頻度も減らすことができるなど優れた経済性をもつ。環境負荷の面でも大幅にCO2排出量を低減できる新商品である。

 アマダは2005年から、市販ファイバーレーザ発振器をベースにした加工技術の評価に着手。アメリカのJDSU社(※1)から基礎コンポーネントの提供を受けることを決定。この基礎コンポーネントとレーザ加工機とを繋ぐ周辺技術(※2)に独自技術を展開し、自社製ファイバーレーザ発振器の開発に成功した。この発振器は、LD(レーザダイオード)の光をダイレクトにファイバーで発振させるモノシリック構造の光エンジンで、増幅された光は導光用のファイバーにシームレスで繋がっている。発振器を構成するモジュール1基あたりの出力は600W。これを積み上げることで総合出力を決めることができるようになっており、このモジュールを7基積み重ねることで出力4kWの発振器ができ上がっている。
 光源となるモジュール化された光エンジンを組み合わせていくことで、板金加工(高出力)のみならず微細加工(低出力)までの用途に適した出力の異なる商品ラインナップの拡充やきめ細やかなユーザー対応が可能になる。

 国内外のファイバーレーザの分野においては、レーザ加工機とレーザ発振器のメーカーは分離しており、一貫メーカーは存在していなかった。今回、アマダが発振器の開発に成功したことにより、加工機と発振器の一貫メーカーが世界で初めて誕生することになる。

主な仕様

早送り速度 :(X、Y、Z) 合成340m/min
最大加工範囲:(X、Y、Z)3070×1550×100mm
  発振器   :4kW アマダ製
  最大加工板厚:鉄 22mm ステンレス 18mm、アルミニウム 16mm
   
※1
JDSU社=ジェイディーエスユニフェーズ株式会社
  1999年米国で設立され、サンノゼにラボを持つ、光通信部品及び計測器、ディスプレイ、OA機器、光学薄膜の多層コーティング部品、光学コンポーネント、高出力半導体レーザ、産業用レーザ機器の製造販売会社。
※2
周辺技術
シャーシ、電源、NCインターフェース技術を指す。