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第15回優秀板金製品技能フェア優秀製品
機械的結合を主体とする組立品の部・銀賞

『運転シミュレーション用のTV』
株式会社内田製作所(神奈川県厚木市)
(写真1) 会議用、自動車教習所の運転シミュレーション、防災センターの監視用などに使われるTVモニター筐体。画面サイズは、50インチから100インチまであるが受賞製品は50インチのもの

 


の受賞製品は"TVモニター"の筐体で、製品内部にミラー(上部傾斜部)とプロジェクター、さらにはスクリーンを設置。プロジェクターを通して映し出された映像がミラーに反射し、スクリーンに投射される仕組みである。会議用TV、自動車教習所の運転シミュレーションTV、防災センターの監視用TVなど、その利用範囲も多岐に渡っている。画面サイズは、50インチ、70インチ、100インチなど。

 現在までの加工台数は、約200台。この製品はこの後、プロジェクター台、ミラー枠、ダクト枠などが取り付けられて出荷される。

 「人に勧められての初めての出品でしたから、銀賞という高い評価をいただき、正直いって驚いています。"板金フェア"への出品は、現場社員のモチベーションを高めるとともに、自社の技術力を第三者に評価してもらう、またとない機会なんですね。そのことを改めて認識させられました」(内田正勝社長)

 材質はSUS、SECC。板厚は1.0〜2.3mm、精度は±0.5mm、加工機械はNCT→CO2レーザー→ベンダー→スポット溶接機→Tig溶接機→組立・仕上げ。


(写真2)

(写真3)

(写真4)
写真2〜4 背面のコーナー部はR形状にしスマートさを出している。塗装を施すため表面の仕上がりにも留意した



 
(写真5)

写真5〜6 正面のスクリーン枠と内部の取付け部品
SECCが使用されているのは、スクリーン枠と内部の一部。スクリーンをはめ込むために強度が要求されるからである。

 3枚板の溶接(内部部品の一つで、2枚の板を溶接、さらにそれを本体に溶接する)、スクリーン枠は8枚の部材で構成するなど、いくつか複雑な加工が要求されているが、最も苦心をした加工ポイントは、R部の溶接と、溶接後の仕上げにあったという。 

  「溶接による歪みは当然のことですが、カシメによってもそれは発生する。その歪みをとることがやはり一番のポイントで、この後、塗装を施すため、表面の仕上がりにも留意しました。特にR部は、30数年の経験を持つ溶接技術者が担当。叩きながら歪みを直しています。

 また、スクリーン枠も50インチという大画面のために、対角線上で溶接による微妙な歪みが生まれてくる。枠の歪みは画面そのものの歪みにつながりますから、その歪み直しも加工上のもう一つのポイントかもしれません」(板金部門係長・神田 誠氏)

 ちなみに背面のコーナーラインは、試作段階での図面では直角の指定であったが、R面にして加工。結果的にその提案が受注につながったという。



(写真6)
 
在、空調機器、プロッター、測定・分析機器、食品関連機器などの筐体加工を主体とする同社は、また自社商品やOEM商品の開発にも力を注いでいる。今後の新たな展開として、いま内田社長が取り組んでいるのが、OEM商品の開発・製造である。

 「製造業におけるグローバル化の波は、中小といえども避けて通ることはできませんが、だからこそ逆に、たとえ小さな市場でもいい、国内で市場を獲得できる商品を開発していかなければいけない、と思っています。そのためには、開発・技術・販売力など、お互いの特性を持ち寄れる"仲間づくり"をしていかなければなりません。もちろん、その取り組みはいままでも試みてきたのですが、本業が忙しくなるとどうしてもおろそかになってしまうところがあった。今後は、そうした姿勢は許されない、と肝に銘じています。

 いま具体化に向けて、一つの商品開発が水面下で進行中ですが、一歩一歩、着実に、大切に育て上げたいと思っています」(内田社長)


■株式会社内田製作所
本 社 神奈川県厚木市上依知3021
内陸工業団地内
TEL 046-285-1121
創 業 1939(昭和14)年
設 立 1964(昭和39)年
代 表 者 内田正勝
資 本 金 2400万円
社 員 数 50名
事業内容 筐体(測定・分析機器・空調機器、製図関連機器など)の設計開発、製造、組立。リサイクル関連機器の開発、製造販売
U R L http://www.uchida-ss.co.jp/
E-mail m-uchida@uchida-ss.co.jp

内田正勝社長