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第16回優秀板金製品技能フェア優秀製品
板金加工部品の部・銀賞


『洗濯機カバー』
トモエ工業株式会社(大阪府摂津市)

(写真1) 長年の間に築き上げられたノウハウが凝縮されている受賞製品。加工方法を知るほどに製品の奥深さを知ることになる

 
(写真2)取り付け部以外の三辺はヘミング曲げで強度をもたしている
田道雄社長が1970(昭和45)年に起業して以来、トモエ工業は一貫して試作メーカーとしての道を歩んできた。図面に描かれた形状を忠実に、短期日に具現化していく試作加工はモノづくりの原点ともいえるものであり、その加工プロセスは創意と工夫に満ちあふれている。35年間にわたって松田社長が培ってきたノウハウはいま、工場内にぎっしりと配置された機械が持つ機能と融合しながら、高度なモノづくりを可能とする。なぜこのような製品形状が総型をつくらずに短期日で製作可能なのか? ますます形状が複雑化し高度化する試作品であるが、トモエ工業の事務所に並べられた試作品の数々を見るとその想いはさらに強くなる。



(写真3)

(写真4)
(写真3,4)受賞製品に類似した形状のもの。カーリングする前とカーリング後の状態を示している。



(写真5)
全体にビードが入ったものを曲げた製品。ビードとビードの間の高さを埋めるように積層材を当てがい曲げ加工を行う

賞製品『洗濯機カバー』もそのなかの一つである。ノウハウに触れない範囲で実作を担当した松田純雄工場長と稲野和教さんに、加工のプロセスを語っていただいた。

 ブランクの作成はレーザー加工によって行っている。そのときに小穴と窓を抜き、四辺にスクラップ幅を十分にとってプレス加工の位置決めガイドとなる4つのパイロット穴をあけておく。次が150トン油圧プレスによる絞り成形となる。型はレーザー加工によって切り出したブランクを積層した簡易型である。積層型であっても絞り用だけに高度の製作力とノウハウが必要だ。肩部の磨きも重要なポイントとなる。そのうえに受賞製品は上型による絞りだけでなく、下型からも凹部をつける工法をとっていることに注目したい。材料の伸び縮みの差を考慮して加工を進めている。

 絞り成形後は、レーザー加工機で外周をトリミングし、取り付け部以外三辺のへミング曲げを行う。最後にベンダーにより上部をカーリングして折り曲げ、本体部をR状に曲げて製品となる。その状態を受賞製品と類似品である写真3、4で示す。その場合のポイントとなるのが、絞りの入った本体中央部の大Rの曲げだ。ここがトモエ工業の保有するノウハウがもっとも活かされる部位である。絞りやビードが入ったものをどのように曲げるのか。一言でいえば凹部にブランク材を積層して埋めこみ、平板のようにして曲げる工法であるが、埋め込む積層材の厚み、幅をどのようにするか、内外(うち・そと)の曲げ代(しろ)をどのように算定するかなど実際は簡単な加工ではない。積層材は実質的に捨て型となる。

 因みに、受賞製品の材質はSUS430-2B、板厚0.8mm、要求精度は±0.2mmである。

ロムレス鋼板など加工性の異なった新たな特性をもつ素材の加工も増えているという。企業が力を入れる開発の先端を担っていることが分かる。製造業の復権が求められるなかで、創意と工夫でオンリーワン技術を確立するトモエ工業の存在は今後ますます輝きを増すことに間違いない。



■トモエ工業株式会社
本社 大阪府摂津市鳥飼上2-5-26
TEL.072-654-1394
創業 1970(昭和45)年
設立 1985(昭和60)年
代 表 者 松田 道雄
資本金 1000万円
社 員 数 8名
事業内容 各種試作鈑金加工業
E-mail tomoe-kk@deluxe.ocn.ne.jp

松田道雄社長

松田純雄工場長(右)と稲野和教さん