技を究める

メニュー優秀板金製品技能フェアホームページ |

 

第16回優秀板金製品技能フェア優秀製品
微細加工部品の部・銀賞


『端子』
株式会社中幸製作所 山形工場(山形県飽海郡)

(写真1、2) 電子機器用の端子。フットプレスを使い、ピンセットでつまみながらのエアベンドで形状にしている。まさに熟練技の世界だ。
 
ーオーディオなどの自動車部品、パソコン周辺機器、携帯電話などの電子機器部品を加工対象とする試作加工工場である。東北の名山・鳥海山を眼前に望む田園地帯のなかにある。庄内空港からは車で1時間弱の距離だ。顧客には日本産業を牽引するビッグネームの企業がならび、自動車業界、電子機器業界の厳しい開発競争を同社が下支えしていることがわかる。

工対象とするのは400mm幅以下の小物部品が主体だ。携帯電話のSDカードやコネクターなどの微細部品である。今回の受賞製品もそのなかの一つ。0.1mm厚のリン青銅をつかい要求精度±0.01mmをクリアーしている。

 加工は、ワイヤーカット放電加工機でブランク取りしてエッチングで形状をつくり、フットプレスで曲げる手法をとった。位置決め用の治具はレーザー加工で切り出したものを積層したものだ。曲げはピンセットでブランクをつまみながらの加工となる。90°のヤゲンで45°の曲げを出すために、曲げ角度の創出は完全に作業者の熟練度に左右され、フットプレスのペダルの踏み加減が目的とする曲げ角度を得られるかの成否を決めるという。「フットプレスを使いこなすのに4〜5年はかかる熟練技の世界」(中山正明専務)である。

(写真3) (写真4) (写真5)
(写真6) (写真7) (写真8)


(写真9)

(写真3〜9)
中幸製作所で生み出された微細加工部品。日進月歩で進展する国内産業の技術開発を下支えしている。写真9は写真3〜8の製品を集合させたもの。

作加工への要求は機能チェックも含めてますます高度化している。携帯電話を開いたときにカチッという音を気にした方はいるだろうか。そのカチッという音だけでもさまざまな音質があるが、開発者が要求する音質をつくりだすのも試作加工の世界である。形状をみても難加工が増加の一途だ。150Rという一見直線に見える大アールの曲げなどもその一つ、板厚分を立ち上げるなども難加工の分野となる。携帯電話の薄型化にともないスイッチなども微細複雑化し、精度も5μmを要求されるようになった。

 当然のことながらますます短納期化しており、機械設備の充実であらゆる要求に応える態勢をとる。ブランク加工はワイヤーカット放電加工機とレーザー加工機を併用し、ブランク材積層による簡易型のノウハウ蓄積にも力を入れる。サーボ制御のプレスブレーキも稼働し、微細な抜きから曲げまで対応する超高精度電子部品対応機MERC TypeMの導入も間近である。3次元ソリッド板金CADシステムSheetWorks for Unfoldの導入で3Dデータでの受注対応も万全である。



■株式会社中幸製作所
山形工場

山形県飽海郡八幡町法連寺字茅針谷地14-1
TEL 0234-64-4181

本社 東京都大田区上池台3-9-15
創業 1950(昭和25)年6月
設立 1959(昭和34)年12月
代 表 者 中山 尚美
資本金 1000万円
社 員 数 17名
事業内容 精密部品試作
E-mail yamagata@chuko-works.co.jp

中山正明専務