技を究める

メニュー優秀板金製品技能フェアホームページ |

 

第16回優秀板金製品技能フェア優秀製品
造形を主眼とする組立品の部・審査委員会特別賞


『ユンボ』
株式会社神村製作所(京都府宇治市)

(写真1) 実寸約30分の1の油圧ショベルのミニチュア。提携先のプラスチック加工メーカーと、技術力をアピールするために共同製作したもの。
 
(写真2)コーナーRにも自社の簡易型技術が生かされている
圧ショベルのミニチュアである。実寸の約30分の1。洛陽プラスチックとのコラボレーションで完成させたものだ。ショベル部を樹脂で成形し、他はステンレスで構成した。

 板金加工メーカーの神村製作所とプラスチック加工メーカーの洛陽プラスチックは提携を結んでおり、製品加工のレンジを拡げて受注拡大を目指す。そのなかで提携技術をアピールするために製作したのが受賞製品だ。神村製作所単独では、優秀板金製品技能フェアの出品も4作目となる。


金加工には二面性がある。コンピューターとの高い融合性を利用してIT技術を積極的に活用する方式と、創意工夫が合理化に直結する板金加工の特性を活かし自社内に独自のノウハウを蓄積する方式である。ほとんどの企業は両方式の融合を目指すが、神村製作所は後者、なかでも“手業(てわざ)”の技術を大事にする。手業(てわざ)とは独自の保有技術、熟練技術であり、さらにいい換えれば自社保有のノウハウということになる。オンリーワン技術による付加価値生産を目指しており、曲げ加工にNC機を一切導入していないことを見てもその姿勢は明確だ。開発部門を設け、試作、一品加工にも力を入れる。

 
(写真3、4)窓部のハーフ絞りも簡易型で処理。自社製品(写真右)にも生かされている

(写真5)治具の工夫・開発によって加工されたキャタピラー。細幅材を等ピッチで裏表正逆にして連続曲げした。
圧ショベルのミニチュアは形状的にわかりやすく、目を引きやすい。内部にモーターを入れ、動きを入れたのも工夫のひとつ。ただそれ以上に製作の眼目となったのは、神村製作所保有の独自技術を随所に組み込んだことにある。ブランキング工程は曲げ高度化に寄与する展開・板取りに徹し、曲げ・成形は治具と簡易型を最大限活用した。

 そのひとつが窓部のハーフ絞りだ(写真3)。積層型を使っているとのことであるが、ノウハウのため工法は公表できないとのこと。窓枠の強度が増すとともに扉との気密性が向上する効果があり、当技術は写真4の自社製品に昇華させている。ビード出し、コーナー部のR形状も簡易型で対応している。キャタピラーも細幅材を等ピッチで裏表正逆で連続曲げしたものだが、治具の工夫・開発によって加工したものだ。

 因みに、受賞製品は計85の部材で構成されており、材質はSUS 304。板厚は0.3〜2.0mmである。



■龍前製作所
本  社

京都府宇治市大久保町西ノ端1-23
TEL 0774-43-4800

創業 1958(昭和33)年
設立 1987(昭和62)年
代 表 者 神村 道治
事業内容 各種産業用機械部品加工、精密板金加工並びに精密機械加工、関連装置組立など

製造グループを統括する西尾健司さん(左)と製作を担当した義永信一郎さん