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第17回優秀板金製品技能フェア優秀製品
厚生労働大臣賞・機械的結合を主体とする組立品の部金賞


『電子部品実装装置の架台』
多摩電子株式会社(神奈川県相模原市)

(写真1) 小型軽量で耐震性に優れたカートリッジ方式にしたことによりVA効果を発揮した。板金構造に転換したゆえに可能になったものだ。
 
(写真2)リベットとポイント溶接の組み合わせで柔構造を実現
(写真3)鋼構造物と同じように梁構造を採用。捨て穴をあけて軽量化を実現している
摩電子は“鋳物構造フレームの板金加工への転換”をテーマに掲げ、社をあげて取り組んできた。「コストダウン」「リードタイムの短縮」「軽量化」「設計変更の即応化」等に優れた効果を発揮するためだ。第15回優秀板金製品技能フェア銀賞の『PCBコネクタ装着装置』は、鋳物構造をリベット構造の板金フレームに転換することで生じるVA効果が評価されての受賞であったが、今回の受賞製品はそれをさらに進化させたもの。金賞と厚生労働大臣賞のダブル受賞という最高の栄誉に輝いた。

子部品の実装は高速で行われ大きなGがかかる。それだけに工法転換にあたって最大の課題となったのが“耐振”である。板金化で重量はほぼ半減するものの耐振性は鋳物構造と同等が要求されるためだ。試行を繰り返すなかでソリューションへの道を開いたのが“柔構造”の採用である。鋼構造物と同じように梁構造を採用し、リベットと溶接の併用ならびに融合を図ることが、高い耐振構造の実現につながった。リベットは計738本を打ち込んでいるが、加えてポイント溶接を各所に施すという、リベット構造とポイント溶接の相乗(シナジー)効果が柔構造を生み出す要因となった。全リベットでも全溶接でも柔構造は実現しない。リベットの配置を工夫し、どの部位にポイント溶接を行うかが適正な柔構造を実現する最大のポイントとなる。これが同社保有のノウハウであり柔構造実現のキーテクノロジーとなっている。

 因みに、材質はSECC/SS400、板厚2.3mm/3.2mm、要求された総合精度は±0.05mmである。

(写真4)第15回フェアで銀賞を受けた「PCBコネクタ装着装置」
個の架台が一体化した鋳物構造の大型装置であったものを分割し、小型軽量で耐振性に優れたカートリッジ方式にしたことも受賞製品の大きな特長である。分割した小型装置数台を1単位として使用し、ロットの大きさに適応して台数を組み替え、連続高速運転をマルチ展開できるようになった。板金構造に転換したゆえに可能となったものだ。

 受賞製品は量産ラインの軌道にも乗り、すでに1400台の生産実績を持つ。さらに横展開による他機種への拡大も実現し、工法転換の波及効果は高い。設計段階から顧客とのコラボレーションを強め、今後ともエンジニアリング機能を強化していく構えだ。



■多摩電子株式会社
本  社

神奈川県相模原市橋本台3-2-26
TEL 042-773-7761

創業 1966(昭和41)年9月
設立 1969(昭和44)年8月
代 表 者 大林 根生
従業員数 72名
事業内容 電子機器構造設計、電子計算機筐体、金融機器筐体、自動改札機筐体、発電制御中央電子盤筐体、その他通信・情報・電子機器の精密板金、プレス部品加工一式
URL http://tama-denshi.co.jp


大林根生社長(左)と奈良小太郎常務