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第17回優秀板金製品技能フェア優秀製品
微細加工部品の部金賞


『海老』
福田計器株式会社(埼玉県熊谷市)

MERC TypeMを利用した初めての加工製品でみごと金賞を射止めた
 
甲羅から下の腹部、尻尾が動かせるようになっている
高精度電子部品対応機MERC Type Mで加工したのが受賞製品である。福田計器では2004(平成16)年3月、新たな精密電子部品の受注を目指して同機を導入。機械の特徴を活かしたPRできるものをつくってみようと取り組んだ製品がみごと金賞の栄誉に輝いた。

 受賞製品は足の曲げの一部とヒゲの曲げ、組み立て以外はすべてMERCで加工している。中でも特筆すべきは小さいながらも甲羅、腹部など各部でR曲げ加工し、立体感を出している点だ。標準の金型を使用し、0.2mmピッチで高精度なR形状をつくり出せたのは、担当したMERC加工部の志村 純氏の15年にわたる曲げ加工経験が活かされている。

 また製品は部品6点で構成されているが、甲羅と3つに分割された腹部・尻尾の各部をダボで接合し、動くように工夫した点も製品のユニークさを演出し、評価のポイントになった。さらに甲羅にはφ0.2mmの穴が80個あけられており、これもデザイン面で評価を上げた。ちなみに材質はリン青銅、板厚は0.2mm、大きさは全長で最大18mm、甲羅は外径でφ5mmである。

  「自宅で飼っている観賞用の海老が目に止まり、微細な海老を製作してみようと思いつきました。機械に慣れる意味もありましたから、自由に図面もなしにつくりました。製作時間はプログラムも含めて、1日です」(志村氏)

 本当に事もなげに、これだけの製品をわずか1日で完成させた志村氏の技能には驚くばかりである。

 金賞受賞後には製品を100個ほどつくり、取引先などに配布。その宣伝効果もあり、新たに電子部品の試作の受注につながった。

MERC TypeMと志村 純氏
MERC導入にあたり、志村氏を担当者に決めたことについて、同社の福田俊作社長は、「彼には器用さ、モノづくりの高い感性がある。だから新しい機械への適応も早い」と話す。また実際に製品の加工を指示した福田 治専務は、「1台で成形加工までこなし、完成品の製作が可能な機械だからこそ、最後は曲げの経験・知識が必要。そうすると彼が一番の適任者だった」としている。社長、専務の人選が正しかったことは、今回の受賞により一層明確になった。

 志村氏をはじめ同社の技能者育成の裏には徹底的な実践主義がある。テストピースはつくらず、曲げ加工では1枚目から製品に仕上げることを要求する。「失敗しても自分で直させます。次から失敗しない方法を考えますし、そこから新たな技能が身につきます」(福田専務)。そして、「社員の適性をよく見きわめ、社員に合う仕事を長くさせ、技能の向上を図っています」(福田社長)と同社のヒトづくりについて語っている。


■福田計器株式会社
本  社

埼玉県熊谷市葛和田1740
TEL.048-588-0277

創業 1964(昭和39)年
代 表 者 福田 俊作
従業員数 57名
事業内容 コンピュータ計測器等の精密板金加工
URL http://www.fukudakeiki.com
志村 純氏 福田 治専務 福田 俊作社長