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第18回優秀板金製品技能フェア優秀製品
中央職業能力開発協会会長賞
板金加工部品の部・金賞



『ロータリーカバー』
株式会社田名部製作所

 
 
上面(85R)と側面(106R)、さらに接合面(15R)の3つの異なるR形状加工が最大のポイント。
難しいモノづくりに挑戦

 普段は図面通りにつくることを求められますが、もっと自由に思い切ってモノづくりに取り組ませたい。そういう思いを叶える手段の1つとして、板金フェアに参加しています。出品製品をつくる社員は会社が指名し、その際に「難易度の高いものにチャレンジしなさい。2、3度失敗しても最後まであきらめるな」と言っています。難しい製品にチャレンジすることで、機械をより使いこなし、新しい製品のイメージもわくようになるからです。

 今回は前回まで出品していた社員とは別の社員(塚本利彦NC加工製缶課長=1級技能士)を指名しました。プレッシャーもあったでしょうが、最後は難しいモノづくりを楽しんでいたようにも見えました。

 受賞製品はもともと鉄製だったものをステンレス製に、さらに異なるR形状の多用と、より難易度の高い製品になっています。上面と側面のRに加えて、これを接合する面にもRをつけ、3次元のR形状としています。
 この異なるR形状の集中する部分が最も苦労した点です。特に展開はソフトを駆使しつつも、なかなか曲線の展開が難しく、手計算でデータをつくるなど、時間がかかりました。またもう1つの関門が曲げです。材質をステンレスに変えたことでひずみの問題が出てきます。接合面のすき間を少なくするためには高い曲げ精度が求められますが、これを可能にしたのが曲げ担当の社員(富ア真二ベンディング課主任=1級技能士)の技能でした。そして溶接とひずみ取りで、最終の仕上がりになっています。

製品を設計した塚本課長。「苦労もしましたが、自分の思うようにつくれたことは良い経験になりました」
フェア出品で技能向上

 受賞をきっかけにまったく新規の取引先から依頼を受けたり、同業者の方からも評価していただいたりと対外的な効果を感じています。また16、18回と重ねて金賞をいただき、社内に板金フェアが目標として位置づけられました。そして、より難易度の高いものにチャレンジしようとする雰囲気が社員の間に生まれてきています。板金フェアが会社の技能向上につながる仕組みの1つになった。これが対内的な大きな効果です。

製品の

ポイント

3次元のR形状加工
上面・側面・接合面を異なるR形状で製作
 
きれいな曲面の仕上がり
曲げ精度の高さと溶接後の確かなひずみ取り




寸  法
W480×H108×D550
要求精度
±0.2mm
加工時間
600分/個
生産形態
試作品
材  質
SUS304 2B
板  厚
1.5mm
部品点数
9点
 
会社概要
本  社

福岡県山門郡瀬高町下庄544-5
TEL0944-63-3179

創  業 1955(昭和30)年
代表者 田名部 秀世
社員数 20名
事業内容 空調機器部品、キャビネット、農機具部品、のり機械部品等の精密板金加工
URL http://www.tanabe-mt.co.jp
田名部 淳取締役営業部長と田名部秀世社長、富ア真二ベンディング課主任、塚本利彦NC加工製缶課長(左から)