IT活用インタビュー


2007/5
試作ビジネスを支えるAi-Link
海外と国内拠点を効果的に使う



株式会社菊池製作所
代表取締役   菊池 功氏
住所   東京都八王子市美山町2161-21
TEL   042-651-7265
創業   1970年4月
従業員数   350名
URL   http://www.kikuchiseisakusho.co.jp

 

 ものづくりメカトロ研究所開設

 
創業以来36年、“あくなき挑戦で未来を切り拓く”をモットーに創業するトータル試作メーカー。設計・型製作・モールド成形・プレス加工・板金・切削・ハンドモールド等の加工条件が異なるものを一括受注し短納期・高品質で業績を拡大、現在では韓国、中国にも工場を開設し試作ビジネスをグローバル展開している。開発型企業を目指し昨年、本社工場内に「ものづくりメカトロ研究所」を開設、最新メカトロ技術の開発を進める。

 海外進出のきっかけ
 「試作のグローバル化といってもきっかけは、お得意さんから「海外で優れた金型を造る会社がないから進出したらどう だ」と進言されて。現在、韓国と中国に工場があり、韓国は10年以上経過して落ち着いています。中国は日本から当 社のような企業が集って出て日系企業を中心に仕事は堅調に推移しています。中国には6人ほどのエンジニアを派遣、現地採用の従業員は300名の規模になりました。日本では30〜50人で「モノづくり」をしていますが、中国では1,000〜2,000人規模の会社はザラで当社は小さい方です。1,000〜2,000人の会社は量産工場で、開発・試作という仕事は、まだ日本国内の方が有利です。日本の物価と人件費が仮に20%低く抑えられれば、わざわざ中国で作らなくても国内で量産すれば勝負できると思います。中国に進出するときには他の経費も掛かるので日系企業は30〜50%のコスト削減を考えて進出している。それでも現地の従業員教育や輸送等のリスクを考えれば日本国内で20%のコスト削減が可能ならば量産分やでも十分、中国に対抗できます」。


 国内と海外生産に区分する判断
儲かる企業体質にするために、「“ムダ・ムラ・ムリ”を極力省いて、極限までもコストを下げることに取り組み、開発から試作までは国内で、量産に入る時にロットの大きい物は海外に、少量および変種変量製品は国内生産という流れが生まれています。板金比率の高いもの、低いものという中でコストダウンに対する手法も変わって来る。以前、試作は板金でも量産になればプレスによる量産加工というのがセオリーだったが、今ではそうした考えはなくなってきました。メーカーは製品の価格破壊により板金部品は勿論、ビスひとつに対しても真剣にコストダウンに取り組んでいます」。

 海外2拠点、国内も2拠点
 韓国、中国に工場進出している他、国内の工場としては本社工場と福島工場がある。その他に前記した「ものづくりメカトロ研究所」があり、そこでは産・学・官で研究を進めている。「現在のテーマは@パイプベンダ・パイプの自由曲線への曲げ、金型レスで丸パイプのみではなく角パイプや三角等のねじりも含めてCAD/CAMデータにより曲げていくパイプベンダの開発研究。A精密金型開発・プレス型やインジェクション精密金型の開発研究を行っています」。



 社員が夢を持てる開発を
 「社会貢献は当然のことですが第一に、このような組織を作っていくことが社員全員の夢につながっていくことになると考えています。社員全員が会社に夢を持つということは大事。これらも社員の夢につながり一人ひとりのモチベーションを高く維持できる開発をやっていきたい。この2〜3年は毎年10人以上の大学卒業者が入社するようになり従業員数も350名になりました。試作というジャンルでは国内のサプライヤー企業としては大きな規模になっています。板金というジャンルを取上げても「精密板金」と「通常の板金」「プレス板金」「金型製造」「インジェクション」があり、1つひとつの事業は30〜50人位の集団で、たまたま必要に応じた“コア”が寄り集まったんです。これからはこの“コアの融合”が大事だと考えています。小さな会社が大会社と対等にやっていくのに、この“コアの融合”により「セミアセンブリ」から「アセンブリ」受注という「一括受注」が可能になり、それが進めば「オリジナル製品」の開発も夢ではなくなると考えています。これからの時代は「それぞれの“コアコンピタンス”を持った小さな企業が集まって新しい会社を設立してもいいのではないか、とも考えます」

 Ai-Linkの活用
 350人の社員のうち現業を除く大半の社員にメールアドレスとパソコンを持たせることで本社と国内外の工場との打合せ、社内コミュニケーション、客先との製品データのデリバリーから見積りなどの営業提案にも活用している。時間が勝負の試作ビジネスにはインターネットは欠かせないツールとなっている。メールを運用するのに先立って、インターネットプロバイダーであるアマダアイリンクサービス(Ai-Link)の接続会員として社員170名のアドレスを取得、同規模の企業の中に社内にメールサーバーを置き、イントラネット環境を設定して社内のネットワークを運用する例もあるが同社はそれをプロバイダーであるアマダアイリンクサービスに依存している。

 「時代がインターネット、メールありきの時代になり、営業マンにPCを貸与、その時にAi-Linkの接続会員になりました。他のプロバイダーも当りましたがアマダアイリンクサービス(当時はアマダ情報サービス)のサービスが優れていると判断しました。今はセキュリティーの問題で難しくなりましたが、当時はアドレスを持つ社員がお客さまから直接CADデータを受取れるということで、お客さまからも喜ばれていました。3次元データの情報の機密保持ということでは、最近はお客さま自体が通信用ソフトを作って、webに乗っけて当社が取りに行くというシステムが増えてきました。原則的にデータの“添付”は禁止で、お客様が機密保持をして行こうという中で我々がメールでやり取りするということは問題があります。アマダアイリンクサービスからはAi-Linkのコンテンツであるe-受けCADの提案を受けています。セキュリティーと暗号化はAi-Linkが責任を持って扱うということで、今後CADデータのやり取りの手段として活用できるかもしれません。現在は社内の連絡、情報交換や、営業と工場がかなり使っています。専任のネットワーク技術者がいないのでセキュリティーを含めて、これからもAi-Linkを活用していく計画です。メールが無かったら仕事になりませんから安心、安全なインターネット環境を提供していただいていることに感謝しています」。
 
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