IT活用インタビュー

2007/7
インフラサポートで安心ネット



有限会社岩城工業
代表取締役   畔上 光広氏
住所   長野県中野市大字安源寺830-2
TEL   0269-23-5323
創業   平成7年5月
従業員数   7名

 前回取材した時は3年前。玄関前のスロープには社名が湖面に写る逆さ文字を現した、と語られる若き社長が印象的だった。3年を経て、「1日100円の安心ネット」はどのように利用されているか。検証の意味もあって再訪した。
 社内設備

▲コールセンター接続のAP100
 AP100が2台、タレットパンチプレスPEGA-244/357が2台、ベンディングマシンはRG/35/50が2台。ネットワーク対応型ベンディングマシンFBD3 -8020NT 1台、WILL受注出荷モジュール+M、2台のタレパン横には現場端末PEUWIN2台が設置され、事務所と現場がネットワークされている。

 「ネットワークにつながる設備、事務所も工場もすべてつながっています。皆、アマダさんに薦められたネットワークで網羅されていて、そのお陰で随分楽になりました。良いところ取りする。例えば食材が全部集まったらおいしいか、というとそうではないのと同じで、1つのお皿にきれいに並べてもらった方が見た目も良く、料理は美味しいでしょう?設備も限られた資金とスペースの範囲内で誂えますから他ブランドなどでごちゃ混ぜにせず、オールアマダで揃えています。そして、この判断に間違いなかったと思っています」。

 インフラサポート
  「変化を求めるのではなく進化を求めています。そのため、インフラサポートシステムにも入っています。ソフトやネットワークで何か障害があればコールセンターに電話してソフトサービスに画面シンクロで入ってもらって、「今から見ます」と作成したソフトやネットワーク環境を見てもらって、「はい、これはこうです」とすぐに障害を取り除いていただける。無論、会社の内容がすべて見えてしまうのでデメリットを感じる方もあるかと思いますが、そんな小さなデメリットよりも、はるかに大きなメリットがあります。中に入ってサポートしてもらえる安心感があります」。と絶大な信頼を寄せている。

 代行サーバー

▲AP100とメインサーバーおよび代行サーバーと受注出荷管理
 「3年前アマダさんに薦められて代行サーバーを契約しました。タレパンが止まったというなら、サービスを呼べば何とかなりますが、PCLのSDDサーバ−が止まったらタレパンからNTベンダーから全部止まるというのは大変な問題です。代行サーバーサービスを入れていただいて、今は当社のサーバーにトラブルが起これば同じデータが代行サーバーにも記録されているので、そこからデータを呼び出せば日常の加工に支障は出ません。非常に安心です。まだ止まったことはないですが、万が一止まっても1時間以内に、予備のサーバーを代行サーバーとして、システムデータがオール復旧します」。

  「もともとインフラサポートを入れる前は、タレパンにそれぞれ一台ずつノートPCがありましたが、ノートPCが壊れてタレパンが動かないということがありました。今は切替機をつけて、どちらかが壊れても対応できるようにはなっていますが、予備の予備として温存しています」。慎重な予備体制をとっている。

 機械が止まると命取り
 「メーカーじゃないので機械が止まった、といって1日2日も止めていられません。下請けのさらに下請けですので。「その話を銀行さんにしたところ、大変安心なことですね、と。銀行のシステムに万が一のことがあったらいけないので、こちらがダメなら、すぐにもう1台
のスーパーコンピュータへと切り替えるようになっているらしいです。当たり前のことだと思っていましたが、バックアップとリスク防止は万全であった方がいいですよね。当社の、このシステムに銀行職員さんも随分、感心されていました。全然パソコンが分からなくても、アマダさんに電話してお願いすれば、素早く動いて直してもらえることは、本当にありがたいです」。

 保険に入る感覚
  「何ものにも変えがたいですね。アマダのサービスマンが常駐してくれる訳じゃないですから。SDDサーバーが止まったら工場すべての機械が止まるというのは困る。権力を集中してしまったがゆえに恐怖というのもあります。そういった面で、保険に入っていると思えば決して高いとは思わなかったですね。昔はネットワークとかサーバーというものがなくて、紙テープとかフロッピーに情報を溜め込んでいたのですが、紙テープは磨り減りますし、フロッピーも壊れることがります。同じようにネットワークが止まったら工場全体が止まる。こういうことに気付きました」。

 「タレパンをエンジンに例えると、昔は素人がボンネットをあけてハンマーで叩けば動いた時代もありましたが、今は全部基盤になってしまいましたから、立派なエンジンでも小さな基盤が壊れただけで動かなくなってしまうことを考えれば、基盤を交換する感覚を持つことが重要です。高価なエンジンでも、小さな基盤がショートして動かなくなってしまう。壊れない基盤を作ってもらうのが一番安心ですが、万が一のことを考えれば、エンジンを2台持つよりは基盤を2個持った方がいいと考えます」。

  「昔は「納期遅れます。機械が壊れて、アマダさん2日くらい来ないんですよ」と言えば、「じゃあ、しょうがないねえ」なんて時代もありましたけど、今は違います。仕事が他社へ行ってしまいます。ですから、壊れることはほとんどなくなりましたが、万が一壊れても短時間で復旧するという安心感を買いますね」。

 新規とリピートの割合

▲PEGA-357のネットワーク端末

▲PEGA-357
 「当社の受注の95%以上はリピートなので、新しいベンディングマシンもまだ必要ないという感じです。数%の新規展開にAP100 2台は多いという感じがあると思いますが1台はAP100の予備です。工場の作業は実質4人で動いています。4人でAP100 2台、タレパン2台、ベンダー3台は多いですが一応予備という考え方で導入しています」。

 「当社は100%、二次請け、三次請けです。効率の良さというのは常に【待ちがない】状態です。AP100が普段は1台でも、いざっていう時は2台動いたり、タレパンはけっこうフル稼働ですけど常に待ちがない状態で、その2台を活用することによって1週間でも2週間でも先の仕事を平行して入れることができます。仕事の多くは量産を狙っています。リピート生産が多いから先のことを考えて作り溜めしています。世の中でPEGA-357 は在庫は悪、在庫は持つな、というPEGA-357のネットワーク端末35考えですが、こんな小さな会社では常識通りにやっていたら効率が上がりません。そこは臨機応変に対応しています」。
 在庫管理
 「基本的には在庫は自分がExcelで作ったデータ入れることによって管理しています。受注から出荷までの生産計画を握っています。それもリピートだからできることだと思っています。ただ、設計変更とかに関しては常にシビアです。安易に作っていたら、順調に行っているように見えて、半年後に大損したらいけないので、受注情報は非常に大切だと感じています。当社のような作り方をしているところは社長の判断が重要なので、常に情報第一です」。

 海外との競合

▲FBD3-8020NT
 「あまり量が多すぎるものは海外へ行ってしまいますよね。ちょっと数が出てきた時は危険です。数が増えてくると不安要素は3つあります。相見積りを取られるか、海外へ行ってしまうか、プレスかモールドに置換されるか。だから数が増えてくると初めは嬉しいですが、2回目以降は逆に心配します。だから本当は中量のところを狙っているのですが、それを自分の判断で大量生産するのです。3万円の製品1つの注文を戴けるのなら、できれば300円の製品を100個の方が良いので、そういった受注のやり方をします。なぜなら、以前は2人くらいでCADとタレパン 1台、RG 1台で曲げた時に全然儲からないんですよ。儲けるにはどうすればいいかと考え、自分がプログラムを組んでいる間に機械が止まっていてはだめだということが分かりました。自分がプログラムを組んだり溶接している間、常にタレパンが動いている、そうすると利益が出るというのに気付きました」。

 「長野県は東京の三多摩に比べると加工単価が安い。さらに新潟、富山へ行くともっと安いと聞いています。しかし、東京からの物流を考えると長野県に仕事が集まりやすい、ということでしょうか。長野は比較的土地の価格が安いということもあって機械を増設すると仕事が集まってくる。長野には大きなメーカーは多くはないのですが、優良企業が多い。企業もある程度大きくなると仕事が選べないこともありますが、当社のような会社だからこそ、間口は狭くても奥行きは深くしておかないと、仕事は取れません。そのために機械が止まったら困るんです。AP100が止まったら困るのでAP100の予備、そして代行サーバー、インフラサポートをお願いしているのです」。「これからさらにどう進むか、ということでは『自動化』ですが、これだけのメンバーでタレパン2台あると自動化するメリットはさほど感じません。中量を狙っていますが多種少量に比べて、特急・割り込みに融通が利かなくなる一面もあります」。

 「従業員も一番長い人で7年、他は3年以内の人たちです。昔は技術、経験、職人技が圧倒的に他社との差別化の根源でしたが、今現在はアマダのマシンそのものが技術の9割を占めていると思います。ですから今後も他のカラー、変化を求めるのではなく、更なる進化を追及して行こうと考えています。HPはまだアップしていません。今のところ戦略
的に宣伝して行こうとは考えず、現状で頑張ろうと思っています」。畔上社長は経営のポリシーと抱負を語る。
 
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