IT活用インタビュー
 
最も高価で大切なものは、データ

− SDDサポートサービスが即時復旧とデータの安全を保証 −
生産管理ソフトAPC21に部品コードを入力して検索し、受注状況を問い合わせる
株式会社ウチダ
代表取締役

小川幸雄

住所 神奈川県相模原市橋本台1-11-23
TEL 042-773-5851
設立 1955年
従業員数 55名
業種 半導体製造装置関連
   
会社経歴 1955年創業。配電盤関係を主に手がけ、1977年頃から半導体製造装置関連へシフト。1979年、2代目社長として現会長の内田茂一氏が就任。1995年以降、内田前社長指揮の下、超多品種変量生産を高効率で行うことを目的とした会社改造計画を実施。2004年に3代目社長として小川幸雄氏が就任した。

主要設備
パンチ・レーザ複合マシン EML-3510NTP+AS-48RM+ULS-48RM、パンチングマシン EMZ-3510NTP+ASR-48M、レーザマシン FO-2412NT+AS-2412FO、ベンディングマシン HDS-8025NT×3台、FBDV -8025NT、FBDV-3512NT×2台、ベンディングロボットシステム ASTRO-100NT+ASTRO-MP20+HDS-1030NTR、曲げ加工データ作成全自動CAM Dr.ABE_Bend、3次元ソリッド板金CAD SheetWorks
 

▲(株)ウチダ 完成品倉庫兼出荷工場

▲小池優取締役兼生産技術部長
 「職人の “記憶”は“記録”に、 “勘”は数値化して“データ”に、 “技術”は最大限、“設備”に置き換える。当社のモノづくりに対する考え方は、アマダのVPSSの思想ともぴったり符合しています」と小池優取締役は語る。

 「『1度だけちゃんと考えましょう。2回目からはそれを使い回しましょう』という方針を徹底し、例えば現場の作業者が書き残すような作業上のちょっとしたメモも吸い上げて電子化し、リピート生産の際にはすべて反映されるようにしています。VPSSを推進し、外段取り化によりどれだけ効率良くモノをつくっていけるか−当社はこの考えに基づき、特化したシステムを構築しています」。

 10年前のAPC21導入が転機

▲AP100で作成した展開図

▲SheetWorksで作成した製品の3次元ソリッドモデル
 転機となったのは、11年前(1998年)に導入した板金ネットワークサーバーASIS100PCL(SDD)と、10年前(1999年)に導入した生産管理システムAPC21。

 発注元によっては一晩に1,800件前後の注文が入ることもあり、これを手入力で受注登録していくと処理を終えるまでに4日を要するが、現在ではEDIとAPC21の連携により受注処理が大幅に軽減。夜の間にEDIでまとめて受注した分は、朝、一番つくりやすいかたちにまるめ処理を行い、始業後1時間もあれば生産指示書と図面を発行、現場に流すことができる。膨大な受注情報はAPC21上で監視し、生産遅延が発生しそうな傾向が見えたら即座に対応し、納期を厳守。徹底した生産・品質・進捗管理と工数削減効果により、大幅なコストダウンと納期短縮を実現し、利益体質を強化していった。



 外段取り化による生産性改善と省熟効果

▲SDDに登録されている部品の生産情報

▲パンチ・レーザ複合マシンEML-3510NTP+AS-48RM+ULS-48RM(2006年導入)

▲パンチングマシンEMZ-3510NTP+ASR-48M(2004年導入)
 SDDを導入してからは、2次元CAD/CAM AP100で作成した展開図データ、ベンディングマシンのAMNC/PCで作成した曲げ加工データをすべてSDDに保存し、受注の90%を占めるリピート品はSDDからデータを呼び出して加工を行うようになった。新規品も過去のデータを流用することで、複雑なものでも受注後30分もあればCAD/CAM工程を終え、ブランク加工に移ることができる。

 2002年には曲げ加工データ作成全自動CAM Dr.ABE_Bendを導入し、曲げ加工データ作成の100%外段取り化を実現。現場にはモノと図面と生産指示書がセットで流れ、作業者はAMNC/PCから加工データを呼び出して加工する。曲げ加工データも100%、Dr.ABE_Bendで作成されるため、マシン稼働率が大幅に改善するとともに省熟化効果も大きく、作業者は今かかっている仕事が新規品なのかリピート品なのかという認識すら持たずにすむという。

 半導体製造装置関連がゆるやかな回復
 同社の得意先は3社。半導体製造装置用部品の精密板金加工をメインに行っている。

 「リーマンショック以降、今年5月を底に、ゆるやかな回復を見せています。今後の見通しは、まだまだ不透明な部分もありますが、どのような状況にも社員一丸となり乗り越えて行く考えです。」(小池優取締役)。

 ロットは平均3個。多い時には30個前後になるというが、これは同社が在庫を見越して意図的にまとめた結果で、発注元からの注文のほとんどはあくまで3個まで。それが連日のように大量に流れ、月間アイテム数4,000〜5,000件にものぼる極端な多品種少量生産となっている。

 発注元との連携強化により、プログラム工数ゼロ(見積り上)を実現

▲レーザマシンFO-2412NT+AS-2412FO(2000年導入)
 3社の得意先のうち、EDI発注と電子図面の配信システムを利用しているのは2社。そのうち、電子データの図面が7割、FAXなど紙ベースの図面が3割。さらに電子データの内訳は、6割が3次元データで、4割がDXFないしDWGの2次元データとなっている。受け取った2次元データはAP100で、3次元データはSheetWorksで展開を行っている。

 「当社は、かなり早い段階からEDI受注に取り組んできました。お客さまから受け取る図面データが非常に扱いにくい形式だったという話はよく耳にしますが、当社ではそれを避けるために先手を打って、『こういう形式のデータで出してもらえれば、これだけの品質の製品をこのコストで実現できます』とPRしました。最初に受け取るデータが万全なら、プログラム工数はほとんどゼロ。発注元の協力を得られたことで、現在、当社で作成している見積りはプログラム工数ゼロで算出しています。お客さまの設計担当者は当社にたびたび研修に来られますから、やりとりする図面データの形式についても標準化されています」(小池取締役)。

 加工ノウハウの社有化により品質改善、省熟化を推進

▲HDS-8025NT 3台を中心とする曲げ工程

▲曲げ加工は100%、Dr.ABE_Bendが作成した曲げ加工データを使用する
 同社は、曲げ・溶接・組立工程を主体にしている本社工場の他に、ブラ
ンク工程がメインの第2工場、完成品倉庫を兼ねる出荷工場と、計3つの工場を持っている。それぞれの工場はVPNで繋がっており、本社工場に設置されたSDDとやりとりすることができる。また、職人の持つ加工ノウハウを生産指示書や製作図面に記録することで社有化し、不良の繰り返し防止や省熟化をいっそう推進していった。

 「過去の不良の履歴や、加工上の注記は電子化された図面ないし生産指示書に記入するようにしています。以前は、熱心な社員でも個人的なメモを取るのがせいぜいでしたが、APC21を導入した10年前から作業者の加工ノウハウを吸い上げて社有化を進めた結果、不良率は0.012%まで下がりました。現場の作業者に関して言えば、目指すところは多能工なのですが、まだまだ単能工の集まり。今や、そういった支援情報なしではモノづくりができないところまで来ています」(小池取締役)。

 データのリスク管理の重要性を認識

▲各工程に設置されているハンディーターミナルで生産指示書のバーコードを読み込み進捗管理を行う

▲出荷工場で出荷を待つ製品棚
 「当社にとって、最も高価で大切なものは、データなのです」と小池取締役は語る。「データだけは取り返しがつかない。コンピュータが壊れたり、ヒトが辞めたりといったことがあったとしても、受けるダメージの大小はあるにせよ、最終的には何とかなることが多い。しかし、当社が10年の間に積み上げてきた経験と知識の結晶である約30万件のデータ、これをすべて失ってしまったら運用を続けることも困難になるでしょう」。

 こうした危機意識を以前から強く持っていた小池取締役は、様々なメディアを使ってバックアップを試み、現在も会社と自宅をVPNで繋いでデータを吸い上げ、RAID※を構築してバックアップしている。

 「しかし、当社にシステム管理に精通した人材はいませんから、こうして熱心にバックアップを取ったとしても、私自身の身に何かあったら、せっかくのバックアップデータも活用してもらえないかもしれません」。
 SDDサポートサービスは完璧
 2009年11月、同社はこうしたリスク管理の強化のため、アマダアイリンクサービスが99.9%のデータの安全を目指して開発したSDDサポートサービスを導入した。

「今回導入したSDDサポートサービスは完璧ではないでしょうか」と小池取締役は絶賛する。「魅力的だったのは、データが勝手に吸い上げられ、データセンターのサーバーで厳重に管理される点と、何かあった時には当社のITに詳しくない社員が助けを求めればすぐに対応してもらえる点です。SDDサーバーが故障した際には、連絡をすれば1時間もしないうちに隣のSDDサポートBOXへと切り替えることができる。それだけではなく、火災が発生するなどしてSDDサーバーとSDDサポートBOXの両方が機能しなくなったとしても、復旧が可能です。単なるハードウエアのバックアップは、即データの安全を保証するわけではありません。SDDサポートBOXによる即時復旧と、分散化によるデータの安全、そのどちらも実現してくれるので非常に安心できます。ITに力を入れている企業ほど、SDDサポートサービスには魅力を感じるのではないでしょうか」と、小池取締役はデータの価値とリスク管理の重要性について力を込めて語ってくれた。

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