5. 表面処理鋼板

【1.種類】

金属被覆鋼板
電気亜鉛メッキ鋼板
SEC
溶融亜鉛メッキ鋼板 SGH、SGC
潤滑表面処理鋼板  
ブリキ SPTE、SPTH
テインフリースチール TFC
ターンメッキ鋼板 (ターンシート 新日鉄)
銅メッキ鋼板 (カッパータイト 日新製鋼)
アルミメッキ鋼板 SA1_(アルシート 新日鉄)
ニッケル亜鉛メッキ鋼板 (ジンクライト 新日鉄)
アルミ亜鉛メッキ鋼板 (スーパージンク 新日鉄)
クラッド鋼板  

樹脂被覆鋼板
塗装鋼板(カラートタン) SCG
ラミネート鋼板  
プライマコート鋼板  
塩ビ鋼板
 

無機皮膜鋼板
ホーロー鋼板 (SPE 新日鉄)

 

【2.亜鉛メッキ鋼板】

[1] 電気亜鉛メッキ鋼板 SEHC(熱延材)、SECC(冷延材)

表面処理鋼板の中で、最も市場に出ているのは電気亜鉛メッキ鋼板である。
電気亜鉛メッキ鋼板をボンデ鋼板などと呼ぶ人もいるが、これは商品名なので鋼材業では通用しないので注意が必要です。わが国では昭和28年、新日本製鉄が ボンデ鋼板、ボンデ亜鉛鉄板を製造・販売したのが最初であり、昭和41年以降、日本鋼管、川崎製鉄、住友金属工業も製造するようになった。
ボンデ鋼板は冷延鋼板の両面に電気亜鉛メッキを行い、そのうえに燐酸溶液中で鋼板と浸漬(しんせき)過熱し、鋼板表面に不溶解性皮膜を生成させるものである。
電気亜鉛メッキの特徴として、メッキ後でも使用原材の材質と同じ加工性を有し、地鉄とメッキ亜鉛間の密着性は完全で、深絞りにおいてもメッキが剥離しない。

 

[2] 溶融亜鉛メッキ鋼板 SGHC(熱延材)、SGCC(冷延材)
   (旧JIS SPG 亜鉛鉄板、トタン)
溶融亜鉛メッキの第1の特質は、ブリキと比較してなかなか錆が生じないという ことと、耐食・耐久性が優れていることである。
溶融亜鉛メッキは、一般に製造ライン内で焼鈍され、短時間に過熱、冷却されるため鋼板中に固溶炭素が多量に存在し、時効による特性の低下をきたしやすい。 メッキ層は極く薄いため、かなりの加工に耐えられるが、強いしごき加工等を受けると損傷する。
表面に生ずる花模様は材質上の意味はないが、商品価値としては重要視されるので美しい花模様を得るため、メッキ浴組成を調整し、冷却方法も種々工夫されている。

 

[3] 電気亜鉛メッキ鋼板(メーカー品)
商品名
高炉 用途 特性
ボンデ鋼板
新日鉄 家電製品、OA機器、事務機器など量産用品に多用される。1.6t以下の薄物が中心である。 亜鉛被覆でFeの保護。
地鉄はSPCCと同質の鋼板が使用され 加工性は良好。メッキ層は薄いが室内で使う機器では錆の心配はいらない。
リバージンク 川鉄
コーベジンク 神鋼
スミジンク 住金
ユニジンク NKK
  • 上記商品の母材はSPCC、CD、CE材です。
  • 処理鋼板の中で最も価格が安い。

 

[4] 溶融亜鉛メッキ鋼板(メーカー品)
商品名
高炉 用途 特性
シルバージンク
新日鉄 自動販売機や自動車などの屋外用機器。
1.6t以上の厚さまであるのでブラケットにも使われる。
亜鉛被覆でFeの保護。
亜鉛鉄板に比べて薄メッキのため、溶接が容易。
メッキ層が厚く耐食性が良い。
加工性はやや劣る。
リバーゼット 川鉄
ガルバエース 神鋼
タフジンク 住金
バームジンク NKK
ペンタイト 日新
  • 上記商品は、通常の溶融亜鉛のJISに規定された付着量以下の薄目付けの溶融亜鉛メッキ鋼板をクロム酸処理したものです。
  • 表面が平滑で薄メッキが可能のために、溶融亜鉛メッキに比較して、スポット溶接、シーム溶接が容易である。
  • 電気亜鉛メッキが主力だが、最近は溶融亜鉛メッキも安くなってきている。
  • ペンタイトなどは、塗装前処理や防錆処理が省け、環境問題にも良い。

 

【3.潤滑表面処理鋼板】

潤滑表面処理鋼板とは、電気亜鉛メッキ鋼板、電気合金メッキ鋼板、及び溶融亜鉛メッキ鋼板に化成処理(クロメート処理等)した後、特殊潤滑皮膜 処理を行ったものです。
潤滑表面処理鋼板は、無塗油(防錆油、プレス油なし)で連続成型が可能のため、脱脂が不要になります。また、直接、塗装・印刷ができます。
フロンやトリクロロエタンなどの洗浄剤は、オゾン層破壊につながる環境問題から使用規制が強化されつつある現在、「環境にやさしい材料」として注目されている。

[新日鉄商品]
ジンコート潤滑鋼板
ジンクライト潤滑鋼板
シルバージンク潤滑鋼板
亜鉛鉄板潤滑鋼板

[特徴]
  • 皮膜厚1μm、耐かじり性、溶接性、通電性重視の汎用薄膜タイプと、皮膜厚3μmで深絞り加工性、耐食性を重視した厚膜タイプがある。
  • 潤滑性は塗油した耐食クロメート処理鋼板に比べて約半分の動摩擦係数と良好。
  • 成形性は塗油した耐食クロメート処理鋼板の破断前最大絞り比が2.2なのに対し2.3と優れている。
  • 耐食性はクロメートの耐食性と有機皮膜の保護が優れた防食効果を示します。
  • 溶接性(スポット溶接)については、潤滑鋼板は表面に特殊潤滑皮膜を有するため接触抵抗が高い値を示し、正常な溶接が行われない場合が生じます。この傾向は皮膜の厚みが厚いほど顕著に表れるが、薄膜型(膜厚1μm)では適性電流で溶接が可能。

 

【4.ブリキ】
ブリキ板は、低炭素の薄鋼板の両面にすずをメッキした鋼材である。
耐食性をもち、外観は美しく、ハンダ付け容易である。また、すずは人体に無害なので、古くから食品の缶詰用缶、食器をはじめ広く使われてきた。
[1]電気メッキブリキ・・・
SPTE 電気すずメッキ処理をしたもの
[2]熱せきブリキ・・・・・・
SPTH 溶融すずメッキ処理をしたもの
※一回圧延製品・・・
呼び厚さ0.15〜0.60mmの低炭素鋼一回圧延のブリキ
※二回圧延製品・・・
呼び厚さ0.14〜0.36mmの低炭素鋼二回圧延のブリキ。
二回圧延の方が硬度は高い

※板状のものとコイル状のものがある。